2023年6月に読んだ(聴いた)投資本やビジネス本を紹介します。
聴いた本はアマゾンのAudible(オーディブル)、読んだ本でUnlimited(アンリミテッド)対象と記載しているものは、本記事執筆時点での情報となります。
私の読書は新刊よりは興味のあるものを選んでおり、数年経過したものも含まれています。
オーディブルでのみ聴いたものは聴いた時の記憶で記載しています。
前月の記事はこちら↓
- ウォーレン・バフェットの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実 デイヴィッド・アンドリューズ (編集), 石田文子 (翻訳)
- Chat GPT完全攻略(週刊ダイヤモンド 2023年6/10・17合併号 [雑誌]
- ChatGPT仕事術大全 (プレジデント2023年 6/30号) [雑誌]
- 週刊東洋経済 2023/4/22号(ChatGPT 仕事術革命)
- なぜ胴の剣までしか売らないんですか?
- 思考の質を高める 構造読解力
- 日本全国、全部署回覧! うちの職場がムリすぎる。
- 何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 (PHP新書)
- 世界インフレ時代の経済指標
- 競争の番人 内偵の王子 新川帆立 (著)
ウォーレン・バフェットの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実
デイヴィッド・アンドリューズ (編集), 石田文子 (翻訳)
シリーズ化している「生声」のバフェット本。
(シリーズ他展開としてジェフベゾス、イーロンマスク、ジャックマーなど)
バフェットの総合商社への投資が23年5月の日経TOPIX急上昇の呼び水となったように、世界的に非常に影響力のある投資家。
この本は誰かの解釈したバフェット論ではなく、バフェットの過去コメントをそのまま(翻訳はしている)、掲載しているのがウリ。
活躍している期間が長く本質をついた箴言的な発言をする人であり、非常に印象に残る言葉が多い。
個人的にバフェットらしいと思えた箇所を2つ引用してみます。
P56
ジレットは素晴らしい。ドル換算にして世界の60パーセント以上のカミソリの刃を供給しています。
私は夜ベッドに横になった時、自分が寝ているあいだに世界中の何十億という男性の顔に髭が伸びていくところを想像します。
そうするとよく眠れるのです。
このジレットのエピソードは彼がどんな気持ちで株を保有しているかを表す象徴的なエピソード。
「寝ているあいだに世界中の何十億という男性の顔に髭が伸びていくことを想像する」
こんな想像をしてワクワク眠ることが皆さんはありますか?
伸びた髭は剃る必要があり、電動シェーバーなど競争品はあるにせよ、カミソリを使う人の60%はジレットの替え刃を使うことに。
替え刃業界にジレットの地位は圧倒的であり、それに伴い価格競争力も強いはず。
自分のよく知る分野で、圧倒的な競争優位性を持つ企業に長期投資するのがバフェット流の投資術。
こんな心持ちで保有できる企業の株式を発掘してみたいと思えるエピソード。
p156
企業を評価する際の、唯一の、最も重要な判断材料は、価格決定権です。競争相手に顧客を奪われることなく商品の価格を上げることができれば、それはとてもいい会社です。
一方、商品の価格をほんのちょっと上げるのにお祈りしなくてはいけないような会社はよくない会社です。
これは物価上昇の今、特に刺さる言葉。
前段のジレットの話とも関連する話と思えます。
価格決定権を持つ企業は値上げをしても顧客が離れないという事実。
最近は日本でも価格上昇が話題となります。
オリエンタルランドなどは値上げしても代替サービスが無いわけで、価格決定権を持っているといえるでしょう。
Chat GPT完全攻略(週刊ダイヤモンド 2023年6/10・17合併号 [雑誌]
ChatGPT仕事術大全 (プレジデント2023年 6/30号) [雑誌]
週刊東洋経済 2023/4/22号(ChatGPT 仕事術革命)
23年6月はChatGPT関連を読みこみ。
実際に使いたいことを考えると、ビジネス雑誌が一番目的に叶うかと思い横断的に複数冊を読破。
複数冊買ってみると、内容が被るかと思えばそうでもなかった。
実際に自分が利用しそうな内容が記載されているものを選ぶのが良いと思うが、kindle unlimitedを契約している人は、対象である東洋経済をまずは読んでみるのが良いかもしれない。
プロンプト収集には役立つので、全部買うのも良いと思います。
私はChatGPTが「意味を理解して答えを返している訳ではなく、後に続く最もらしい言葉を選択しているだけ」ということすら今回初めて知ったレベル。
内容は読んで表面的には理解したつもりなので、次は自身のインプットやアウトプットに如何に取り入れて活かしていけるかというところ。
ChatGPTについては後日何かしら記事を書きます。
なぜ胴の剣までしか売らないんですか?
この書籍は一般的な認知度は低いと思われる、下記チャンネルを利用しているエフさんの著作(小説)です。
著作を出していることを今年まで知りませんでしたが、この構成力と展開力なら小説を書けるというのも納得。
上記動画チャンネルのファンでないと読まないと思うし、「ドラクエ」の世界を知らない人は興味が持てない内容かも。
しかし動画を見ている人やドラクエ世代にとっては、エフさんらしいという切込みと観点で楽しめる作品と思います。
動画を見るたびに「いらすとやのデザインでこれだけ面白い内容作れるのってすごいよな」と毎回思ってしまう。
エフさんの動画は投資に関連するものも多いので、今後改めて紹介できればと思います。
思考の質を高める 構造読解力
オーディブルで聴いたのみだが、非常に有益な本であるという印象。
正直一回聞いただけで消化できないという内容ではあるけれど。
冒頭の著者がコンサルティング会社で落ちこぼれている時に、小学校で意識せずに習った本書のスキルが身を助けたという話が印象的。
ここで紹介されている小学校の事例のような教育を受け、文章に対する読解力を型として身につければ人生で有益と思います。
しかし小学校の授業で行われている内容がかなり高度ですね。
この構造読解力の授業をどれほど受講した生徒たちの実力なのか。
実際の書籍も購入して再読予定。
日本全国、全部署回覧! うちの職場がムリすぎる。
何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 (PHP新書)
kindle日替わりセールとオーディブルで偶然に選んだ書籍だったが、共通するテーマが多く乱読が繋がった感じがして面白かった2冊。
「日本全国~」は本で読んで、「何もしない~」の方はオーディブルで。
前月紹介した下記の加谷さんの本にも通じるものがありました。
日本人の心理というか空気というか、集団や組織の特徴がより良く知れる内容です。
組織に雇用され働いていると、完全に能力主義や成果主義で決まる職場でない限りは、非合理に見える「職場のお作法」や暗黙のクソルールに悩まされた経験があるでしょう。
また自分一人が張り切っても組織が停滞(もしくは腐敗)していると、打てど響かずという形で無気力になってしまいがちな経験を持つ人も多いはず。
『日本全国~』の方は旧態依然とした組織の考え方など「成功の賞味期限」切れの組織文化や慣習を例示して解決策を示しているもの。
『何もしない~』の方は日本人の多くが陥っている「消極的利己主義」という側面に学術的なアプローチで迫る内容。
日本人の生産性は低いと長年言われることだけど、それと大いに関係していると思われる日本型組織にまん延する空気について同意できる内容が多い。
しかしこの何もしない方がマシな空気に浸りきった組織に入って、中から変革することは至難の業でしょう。
なるべくしがらみのない組織に転職したほうがコスパが良いと思ってしまう。
世界インフレ時代の経済指標
こちらは珍しく今年発売の著作。
オーディブルで聴きました。
エミンさんは割と有名な方と思いますが、やはりこういう本分かりやすくかけるのは凄いですね。
経済指標の本は他にも沢山あると思うのですが、投資家としてエミンさんがピックするこの本の指標は的を射ていると思います。
流石に知らない指標は無かったのですが、背景や関連する説明などで頭の中が非常に整理されました。
投資が本当に初心者からすると経済指標は縁遠く難しい内容と思います。
やみくもに経済指標勉強していると投資に活かせるとは限らないので、このエミンさんがピックした経済指標から学ぶのは良い方法かと思います。
競争の番人 内偵の王子 新川帆立 (著)
先月に紹介した作品のシリーズ続編。
公正取引委員会につとめる主人公のお仕事系小説シリーズ第2弾です。
前作では主人公が霞が関勤務でウエディング業界での不正取引がテーマ。
本作では主人公が福岡の地方局に転勤となりそこで呉服業界とのカルテル調査がテーマ。
前作同様に「抜け出しようのない構造」に悩み、疲れ、追い込まれ不正を働いてしまう人々の葛藤などが描かれる。
エンタメ要素として恋愛に疎い主人公の心情や空手技は健在。
呉服業界というと個人的には強引な着付け販売や日曜の夜などに見込み客にひたすら電話をかけてくるような営業をしている印象がある。
売り上げ、ノルマに追われ顧客のことは度外視というイメージが強い。
今回はそういった消費者目線よりは仕入れや問屋の話。
前作同様に新規参入者や既存の会合から抜けるものに対して、その人たちを貶めたり排除することに躍起になる業界の嫌がらせエピソードが出てくる。
ここらへんは前述した『日本全国~』とか『何もしない~』などの日本の組織風土なんかを煎じ詰めたような内容。
余裕で「優越的地位の乱用」というような上下関係を利用したハラスメントである。
自分たちが顧客のためにいかに付加価値を提供するか、という方向に努力のベクトルが向くことはなく不公正取引など濡れ手で粟を希求する事業者の話が多い。
完璧に腐っている慣習も長く続きすぎて常識になっている業態は、地方中心にまだまだ残っているだろう。
ここは労働法や下請法、法律違反を公権力で正していくしかないのだろう(内部通報制度も自浄作用もないので、放置されることが多いと思うが)。
ここに書かれている話がどれだけ真実かは分からないのだが、完全なフィクションでもないと思われる。
下請け法違反や慣習としての現金払い値引きなど、10か月手形すら残っているような気がする。
この令和の時代でも業界の慣習と言いつつ、労働基準法や社会保険料控除に違反していることを気にしていない業界があったりする(そもそも法律を知らないと思うが)。
古かったり販売の現場がノルマに追われているところは、その会社自体がブラック体質なのは当然として、業界としてブラックで抜け出しようがないという現実も。
都会だと企業数も多数あるのでブラックすぎると人が辞めていくのだが、企業数が少ない地域はこういった構造が残りやすいように思う。
小説なのでエンタメ要素やストーリー性もある内容で、公正取引委員会というより警察的な事件内容も多くて少しテーマが広範に渡ってしまった感はある。
エンタメ寄りが強すぎるようにも思えたが、公正取引委員ネタで本作分量では息切れする読者も多いので仕方がないといったところか。
前回見た時に続編があることを確信したが、この作品以降もシリーズが続くように思えます。