23年までの日本社会では株高に恩恵を感じる人は限定的
NISA口座の政府目標数は27年で3,400万(23年9月末で2,034万)
金融庁によると、NISA口座数は23年9月末で2034万と1年前に比べて281万(16%)増えました。投資信託を積み立て購入する、つみたてNISAをけん引役に初めて2000万を超えました。個人投資家の裾野は着実に広がっています。
もっとも政府は22年にまとめた資産所得倍増プランで、NISA口座数を当時の1700万から3400万へと5年間で倍増する方針を示しました。目標達成にはこれまで以上にスピード感を持って個人を投資に呼び込む必要があります。
上記は2023年12月31日の日経記事。
24年から「資産運用立国」としての肝入りの新NISAが始まりました。
記事によると22年に策定した政府の目標口座数が5年間で3,400万。
旧NISA口座保有者は投資や運用に積極的な人だったでしょうし、23年末までに新NISA口座を開設した人は資産形成に興味があり行動する人だったでしょう。
24年以降の新規口座開設者は
「NISAに興味あれど口座解説まで至っていない人」
と
「今現在全くメリットを実感していない人、存在や概念を知らない人」
になりそうです。
前者は背中を押すだけで口座開設にいたりますが、後者に関しては掘り起こしと地道な周知活動が必要になりますね。
根気のいる時間のかかる作業になり、スピード感持っての実現はかなり費用面などが必要そうです。
義務教育で金融教育も行われているので、これから成人になる世代は口座開設意欲の可能性が高いでしょう。
ただ、自発的な個人の選択に任せていると時間がかかりそうですね。
「福利効果」の概念理解よりも株高が嬉しくなる仕組み構築が大事
記事では「日本人は複利効果の正答率が低い」との調査結果を引用していますが、福利の概念習得はもちろん大事。
しかし同時にもっと下世話に株高で嬉しい経験をすることが分かるのは良いのでしょうね。
ぶっちゃけ個人の資産が増えることが目的で始めるものなので、動機になるのは「これで儲けた!」みたいな身近な(ある意味下世話なエピソード)だと思います。
もっというと、「やらないことで損している!」と後悔させるような情報。
方向性として射幸心を煽る要素も多分に含むので、たぶん公的機関は採用難しい展開だとは思います。
結局は堅苦しい机上の理論を説き続けるしかないでしょう。
それだとあんま口座数が増えないと思うんですよね。
マネックス証券の松本会長が書いている著作で、アメリカでは株高になる仕組みがしっかりできているし、株高が個人の幸せにつながる感覚が国全体で共有されていると書かれている本があります。
社会が株高で幸せになるようにデザインされているんですね。
これ読むと、口座数や資産増大のメリットを机上の金融教育で教えることと同時に、「株高が嬉しい社会」を作るデザインが重要だと思えます。
相場環境へのコメント
米国相場
年末までの株高が一転して年始から反省している状況。
サンタクロースラリーは失敗、新年5日間の株式市場も4日終わって軟調という状況。
今年の株価指数の動きに早くも警戒感が漂う。
相場のかく乱要因は米金利の上昇。
先週は堅調な雇用指数が利下げ観測を後退させ金利上昇を促した。
しかしISM非製造業景況指数が予想より悪化し、方向感は定まらないともいえるのかもしれない。
今週はCPIの発表があり物価の面から評価がされるだろう。
FRBの利上げ姿勢と、投資家の行き過ぎたといわれる利下げ観測で金利が変動する。
利下げ観測の後退が強くなると株安が意識されそうだ。
10日(水)がSECがビットコイン現物投資型ETFについて、承認の是非を判断する期限となっている。
リスク資産のBTCの反応は株式市場にも変動をもたらすかもしれない。
日本相場
先週の日経平均は週間では4週ぶりに反落し、約86円の下落
8日の月曜日が成人の日で休場なので4日立会い。
米株に比べるとTOPIX中心に日本株は底堅い印象。
今年のドル円は円高を見る動きが中心である中、為替が円安に振れているインパクトは大きい。
しかし逆に円高になると弱いともいえるので、この点は痛し痒しなのではないかと思う。
「米株が金利上昇で下がっても、日本には円安で支援になる」という解説があるが、その傾向はあるにせよ今後の日本株が堅調な推移をするのをそれに託すのは安易な見方ではないか。
今週からファーストリテイリングなどの小売り大型株の決算が始まる。
安川電機などの3月期決算企業も出てくる。
週末の台湾総統選は日本を含む地政学リスクの高まりに繋がる恐れがある。
結果を見るしかないが、意識して投資判断をしたほうが良いと思っている。
その他
労働市場の過熱感が薄れてきたのは間違いない。米連邦準備理事会(FRB)の次の一手が「利下げ」ということにも多くの市場参加者は異論を挟まないだろう。だが、その時期を巡って、12月の雇用統計は明確な方向性を示してくれなかった。
23年末まで続いた株高と金利低下が逆回転し、なお不安定な状況が続くのは、投資家の買い余力が乏しくなってきたことも背景にある。JPモルガンは幅広い市場のグローバルな投資家動向を分析。現金の保有比率が21年末以来の低水準に近づいており、持ち高の積み上がっている株式と債券には「今後下振れするリスクがある」という。
株式と債券の買いが膨らんだのは、米景気が減速しても、景気後退に陥らないままFRBの利上げ局面が終了しそうだという期待があったからだ。HSBCグローバル・リサーチのマックス・ケトナー氏は「次のステージはゴルディロックス(適温経済)相場の反転だ」と指摘。戦略的に株式の保有比率を下げ、次の買い場まで待つべきだとみる。
雇用統計は前月の下方修正が同時に発表されることが多い。
後日の下方修正が常態化されていると、発表時の数字が経済の実体かというと怪しいだろう。
しかし投資家はこの数字に反応するのだから、毎回ドタバタするしかないのが相場の宿命か。
年始のドル円変動は取引の薄い日本休場を狙った投機的な動きという印象が強いが、今年は普通に変動しましたね。雇用統計→ISM非製造で上下して、来週もCPIなどに大きく振らされそう。
— ぽろ (@champoro1) 2024年1月6日
ドル円相場で一時145円台、4日で4円下落 日米金利差拡大の思惑 - 日本経済新聞 https://t.co/y2gK2I5OuF