全般
為替市場
先週は米国の雇用関係指標が緩みがみえたことが、FRBの利上げ打ち止め期待につながった。
しかし週末最後の指標ISM製造業指数が予想より強かったこともあり、金利は木曜より金曜終値の方が高く終わった。
ISMの製造業景況指数で雇用や価格の項目が上昇したこと、翌週以降の米企業の社債発行による需給の緩みを意識した動きが、軟化した雇用統計の結果の影響を上回ったとのこと。
8月はインフレ鈍化、労働需給逼迫の緩和が見られたが、ここら辺の材料の強弱綱引きは9月以降も続いていくのだろう。
FRBが利上げ姿勢を崩せば状況は変わるのだろうが、慎重なスタンスを崩すことはなさそうだ。
世界を見渡すと経済として堅調なのは米国ぐらいなので、今週以降も結局ドルが強いというイメージをもっている。
ユーロについては先週に利上げ打ち止め観測が強まってきた。
景気が弱いのでECB関係者は利上げをためらっているような発言が出てきている。
ECBはFRBより遅く利上げを初めて、インフレ度合いもFRBより深刻だと思うが、中央銀行の姿勢としては及び腰といえる。
今週は欧米の経済指標は少ない。
米国では6日の米8月ISM非製造業景況指数。
予想は52.3(前月52.7)
節目となる50は超えていて、今回も大きな変動は無さそうだが数字としては段々と弱くなっているようだ。
ユーロは景気後退が懸念されており、ECBは利上げに消極的な姿勢が続くと思われる。
ポンドもその雰囲気を共有しているように思える。
どちらも前週末の終値はドルに対して軟化している。
豪ドルは流石に下げすぎたのか先週は底を打ったように思える。
日本政府の為替介入はトーンが弱まっているように思う。
ドル安円高も米国金利の上値が見えている状況では進みにくそうだ。
金曜日は雇用統計で一気に円高方面に振れたが、結局ISM製造業景況感指数や要人発言で金利高となりドル高に振れている。
米市場
4日は米国がレーバー・デイで休場となる。
経済指標としては6日に米8月ISM非製造業景況指数、米7月貿易収支などが注目されるだろう。
8月は弱いとの通り中旬までは米国株式は弱かったが、先週は米労働需給の逼迫改善が見られ株式は強かった。
週間では主要3指数が上昇した。
ダウ+1.43%、S&P500+2.50%、ナスダック+3.25%。
先週金曜は9月に入っているが、指数は殆ど動かなかったので8月最終週は順調だった。
9月は季節的には米株は弱い月となっている。
「4日のレーバーデー明けの相場は荒れる」というアノマリーもあるが、バカンスから戻ってきた投資家で相場の雰囲気が変調する可能性はありそう。
FRBの米利上げが最終局面にあることは現在の株価にかなり織り込まれていると思われる。
ここからの米株式の一段の上昇には金利低下など明確な好材料が必要になるだろう。
日本市場
先週の日経平均終値は32,710円で、前週末比1086円高でした。
5日間負けなし、前々週に4桁下落したがそこを取り戻した形に。
TOPIXが堅調で週末には年初来高値を更新。
33業種すべてが上昇と幅広い銘柄が強い非常に良い雰囲気となっている。
「8月の円高」アノマリーは発動せず、「8月は米株が弱い」というのも悪影響は出なかった。
今週は月曜日は米国がレーバーデーで休場となる。
前日の米国株式市場を織り込んだ後は、様子見姿勢が強くなると思われる。
週末にはMSQがあり週内の波乱も警戒されるが、注目される経済指標などは多くない。
先週ほどは株式も為替も変動する機会は少なさそうだ。
8日に4~6月期GDP・2次速報値と7月毎月勤労統計調査が公表される。
この日はMSQと重なるので金曜日の変動が大きくなるかもしれない。
欧米の投資家がバカンスから帰ってくることで閑散相場からは解放されるのではないか。
帰ってきた欧米投資家の投資行動がどう出るか、上下に大きく振れる展開はあり得るだろう。
今種末には日本のMSQで良く週末には米国のSQが控えている。
翌々週にはFOMCと日銀会合があるが、今回はどちらも金利に影響を与えるような判断はしないと思われる。
見通しなどは参考にされるだろうが、中銀会合の警戒感が薄ければ株式市場などは動きやすいのかもしれない。
8日(金)の4-6月期国内総生産改定値
予想は前期比年率+5.6%
一次速報値は前期比年率+6.0%
国内総生産の実額は過去最高となったが、個人消費の伸びはマイナスとなった。速報値と同じような数値が予想されている。
さいごに新興市場について。
今週の騰落率は、日経平均が+3.44%だったのに対し、マザーズ指数は+1.82%、東証グロース市場指数は+1.74%だった。
日経が停滞局面にはマザーズは強い動きが見られるが、日経が盛り上がると資金が干上がってしまい活気が失われてしまう。
今週からは9月中旬以降はIPOラッシュが控えており、余裕資金の確保を目的とした買い手控えが重しとなりそうだ。
その他
中国で経済指標の発表がいくつか予定されている。
中国の景気・経済の問題は根が深くて、一時的な落ち込みなどではなさそうである。
しかし市場はそれを理解し、多少の経済指標の悪化では動揺しなくなってきたように思う。
株価が下がり続ける展開も一応は止まったように思える。
5日(火)に中国8月財新サービス業PMI (10:45)
7日(木)に中国8月貿易収支が発表される。
9日(土)に中国8月消費者物価指数と中国8月生産者物価指数
良好な数字が期待されていないことは、下げを弱め少しでも強い場合の上昇確率を上げるだろう。
小出しと言われても経済対策や市場対策を打ち続ける姿勢は見られている。
このことが市場の崩壊を防いでいるだろう。
引き上げた資金が再び帰ってくるのは難しいと思うが、これ以上の資金流出がなければ不安材料としては存在感が弱くなっていくと思う。