全般
為替市場
先週はCPIとPPIが予想以上の鈍化を示して、米国の将来の利上げ観測が後退。
7月FOMCの利上げは織り込んだが、そこで利上げ停止をマーケットは見込んでいる。
FRBは年内2回の利上げを織り込んでいるので、マーケットと齟齬が出ている状態。
ドル売りが鮮明となっており、ユーロやポンドが勢いよく値を上げている。
円は日銀の政策修正(YCC修正)を見込む動きも発生し、特に動いている状態。
急速な円高ドル安となっている。
週末14日のミシガン大学7月消費者態度指数(速報値)は72.6と市場予想(65.5)を大幅に上回った。1年先の予想インフレ率も3.4%と6月(3.3%)から小幅に上昇した。
インフレ鈍化を追認する結果を期待していた市場にはサプライズとなり、週間のリバランスも巻き込んでドル高となった。
雇用統計やCPIほどインパクトが無くても、経済指標の結果で一喜一憂する相場は続きそうだ。
今週も経済指標がいくつかあるが、18日の6月小売売上高や20日の7月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)が特に注目される。
翌週に中央銀行ウィークが控えている。
あまり腰の入った売買とはならない可能性もあるだろう。
米市場
先週の米国株式市場は金利低下とドル安で堅調となった。
金利低下とドル安はハイテクに有利な状況。
週末から企業決算が銀行業から開始している。
17日に米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、18日に米6月小売売上高、米6月鉱工業生産、19日に米6月住宅着工件数、20日に米7月フィラデルフィア連銀景気指数、米6月中古住宅販売の発表がある。
株価は堅調に推移しているが、企業センチメントの改善が見られれば一層の上昇を招くかもしれない。
企業決算では、週初にモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカなどの銀行業が引き続き発表され、19日のテスラやネットフリックスが注目される。
日本市場
先週の日経平均は週初にETF分配金捻出売りをこなすも、水曜まで弱く、木曜日に急反発し、金曜は寄付き上げたが大きく売りも出て終値では32,500円を割り込んだ。
週を通して急速な円高が株価の重荷となり、一時は約1カ月ぶりとなる32000円割れとなる場面も。
週間では結局ほぼ横ばい(2円高)で着地した。
金曜のSQ確定値は32484.24円。
今週の日経平均は月曜日が祝日で休場となり4日立ち合い。
日経平均には米国での堅調な株価が追い風となるが、その上昇背景がドル安(円高)なので為替影響で痛しかゆしの展開となっている。
7月下旬から決算が本格化する中で、為替の急速な円高は企業収益の悪化を意識させるだろう。
日銀短観の想定為替レートは1ドル=132円であり、週末の138円台ならば想定為替レートを割り込んでいる企業も少ないだろう。
しかし一時期145円ほどもあった状況の収益期待剥落は投資家センチメントを悪化させるだろう。
国内材料は週末のCPIぐらいで、海外指標の為替と株への影響を消化する展開となりそうだ。
翌週に中央銀行ウィークが控えており、その前週なので様子見姿勢が強い週となる可能性がある。
FRB→ECB→日本銀行の順で中銀会合が行われるので、先週に巷で急速に織り込んだ日銀の政策修正の真偽が分からないままの展開が続くだろう。
為替影響の少ない新興市場の売買が幕間つなぎ的に入りやすい週となりそうだ。
週半ばのテスラやネットフリックス決算がグロース株に影響を与える可能性もあり、注目すべきだろう。
20日にTSMCが決算発表を予定しており、国策となっている半導体に影響が大きく出そうだ。
その他
17日に、中国4-6月期GDP、中国6月鉱工業生産、中国6月小売売上高、中国6月固定資産投資の発表がある。
中国経済は昨年のコロナ時期の比較しても冴えない展開といった印象。
不動産価格なども下落もあり国内消費意欲の減退も強いようだ。
経済対策期待もセンチメントを大幅改善させるほどのものは出てこなさそうで、米国とのハイテク戦争も掛け合いが続いていることは懸念要因となっている。