全般
12日発表の米国の6月CPIが最も注目されるだろう。
市場では物価指標からの利上げは収まっていると見られている。
仮に物価指標からインフレ進行が確認されてしまうと、FRBの年内2回以上の利上げやそれ以上の利上げが意識されてしまう。
前月のPPIはインフレ鈍化傾向していていたので今回のCPIは大丈夫と思うのだが、次回CPIの先行指標になる13日の米6月卸売物価指数(PPI)が上振れると波乱を起こすかもしれない。
FRBの利上げ姿勢を見極めるうえで14日の7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値も注目される。
消費者のインフレ予測の伸びは鈍化すると見られているが、変化が起きていないかに注目したい。
週末には米国でJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなど銀行の決算発表が始まる。
決算シーズンのスタートの銀行株が将来見通しが注目される。
為替市場
為替市場は流れが変わってきたように思える。
先週末にかけて円、ユーロ、ポンドがドルに対して強含んだ。
ユーロやポンドについては利上げが米国より長期化も、不思議となんだかドルの方が強かった。
先々週まで材料にされた米国との金利差への見方が、先週に投資家心理がリスクオフに傾いたことで変化したように思う。
豪ドルは出遅れている。
中央銀行が政策金利を据え置きしたこと、中国経済が軟化していること、世界的な株安傾向が上値を重くしている。
意外な動きがドル円。
日米金利差が拡大も週末にかけてドル高基調が反転しドル安円高に。
先週も日本政府の為替介入は実施されなかったのだが、内田日銀副総裁の発言や日本国内の給与上昇が日銀の政策変更リスクを意識させたようだ。
7日に一時142円07銭まで反落した
先々週までの金利差を材料とする相場は忘れて、新しい流れを尊重した方が良いように思う。
米市場
先週の米国は月曜が短縮取引、火曜が祝日で休場となった。
独立記念日以降は強いともいわれる米国市場だが、祝日明けは株安が続いた。
FOMC議事要旨などでFRBの年内2回利上げが実現しそうな雰囲気となり、フェドウォッチの7月と9月どちらも利上げする確率が上昇。
2年債と10年債の逆イールドも進行し、将来の景気後退入り確率が上がり警戒されている。
木曜日は予想を大幅に上回ったADP雇用統計の民間部門雇用者数がサプライズとなった。
しかし金曜の雇用統計では非農業部門雇用者数は市場予想を下回った。
この点で市場は安堵したはずだが、今週のCPIやPPIの物価指標と企業決算が警戒されてか株指数は引けにかけて値を消した。
米国の利上げ見通しに関して物価指標は順調にインフレ鈍化を確認できているが、堅調過ぎる雇用指標が頭痛の種になっている。
FRBの年内2回利上げは当初実現性が薄いと思っていたが、いまやもっとも現実味が高いと考える投資家が増えている。
インフレ鈍化見通しの物価指標が停滞したり、再度インフレ傾向を示すと波乱を起こしそうだ。
CPIのみならず先行きを示すPPIも鈍化傾向が見られないと、9月利上げやその先の利上げも悲観的に見る確率が高まるだろう。
日本市場
先週の日経平均は週間で800円の下落。
下半期スタートの月曜日は500円超の上昇で年初来高値を更新も、残り4日はすべて下落した。
節目の33,000円を大きく割りこみ、25日移動平均線からも1%以上マイナス乖離となった。
チャート上では6月19日と7月3日の高値による「ダブルトップ」が形成されつつあり、下値抵抗線となるネックラインは6月27日の安値(32,306円)となっている。
日本株のファンダメンタルズを評価する声は大きく、大きく崩れる指摘は今のところ少ないとの声が多い。
今週は米国の物価指標の反応を見極めつつ、各企業の個別決算に注目が集まるか。
週末はSQ週なので週中に思惑が入り混じった荒れる展開も予想される。
チャート上のダブルトップが完成するかの瀬戸際にあり、底堅さを発揮できないと見ると押し目買いも入りにくいだろう。
日銀の金融政策修正リスクを鎮めるには、日銀会合での現状維持確認を待つ必要がありそうだ。
もっとも金融政策が修正なく再び円安になったとしても、145円以上は為替介入への警戒感が強い。
大型株が動きずらそうだが中、グロース株や新興株の値動きに注目したい。
IPOが初値持越しのグリッド以外は無く、Sansan、SHIFT、ベイカレント・コンサルティングなどの企業決算が予定されている。
米国が金利高などでグロース全体が崩れたとしても、個別企業の材料で跳ね返す展開を期待。
その他
13日木曜日の中国貿易収支などに注目。
景気後退の指摘が大きくなっている欧州の経済動向などにも影響を与えそうだ。
上海総合やハンセンなど株式指数の値動きは弱い。
安値拾いや突っ込み警戒感からの反発が鈍いのは、経済の軟調傾向と米中の輸出で小競り合いが続いているからだろう。
秋以降に米国が大統領選挙シーズンになると、国民アピールとしての中国叩きが加速する可能性がある。
すこしでも中国側から経済対策なり経済指標の底打ちなどが出てきてほしいところだ。