強い日本市場の背景に驚異的な株主還元
23年4月から現在の5月半ばまで日経平均とTOPIXが堅調地合いを増している。
4月の上昇は世界的な投資家として有名なバフェット氏が来日し、日本株投資に意欲を示したことは大きいと思われる。
もう一つの要因として気になるのが23年3月期の上場企業の決算発表だ。
今回決算の注目は業績だけでなく「株主還元」とも言えそうだ。
いわゆる東証の「PBR1倍問題」などで事前に盛り上がっていたこともあったが、実際に企業から増配や自社株買いが発表されるとインパクトが大きかった。
中でも自社株買いを発表する企業が多く、その還元金額も驚くばかりであった。
まだ決算が全て出ていないので体感になるが、過去最大の社数と総額になるという気がする。
取り残されるか新興市場
自社株買いができる企業というのは資本的に余力がある成熟企業に多い。
株価は長期的には企業の利益に連動するので、業績が何より重要視される。
だが5%など自社株買いすると業績はダメでも株価を下支えする力は大きい。
成長企業は成長投資に資金を振り向けるので、新興企業の集まるマザーズ指数などは蚊帳の外になりがち。
そのせいかこの決算発表集中している期間で、日経TOPIXとマザーズでは乖離が出ていたように思う。
しかし自社株買いというのは株価上昇の特殊要因でもあるので、その効果が無いマザーズの動きが本来の投資家マインドなのかもしれない。
マザーズ指数は海外からの資金は規模的に入りにくいので、特に国内投資家のセンチメントを表しているとも言える。
日経やTOPIXとの乖離が解消される時、どちらに寄せるかが非常に興味深い。
問われる企業価値向上の持続性
今回の自社株買いが最終的にはどのような規模になるのか、今週の19日の決算が引けてからの集計結果を待ちたい。
ちなみに東証はもちろん「自社株買い」を求めている訳ではない。
一時の株価対策ではなく抜本的な企業意識改革を求めている。
そういう意味では株主還元に踊りつつも、その株価に酔うことなく企業姿勢を見極めていく目が投資家には求められるだろう。