先週の振り返り
■米国
・ポイント
- 概況
- エヌビディア決算は良くも悪くも波乱無し
- ロシア-ウクライナリスクが複数回注目される
1.概況
トランプ政権の不透明感の警戒、ロシアとウクライナの地政学リスクの勃発、FRBの利下げ確率低下などが全体の懸念材料となった週だった。これらは濃淡の違いはあれど翌週以降も引き継がれるだろう。エヌビディア決算は大きな混乱なく終了。上げ材料に欠けると思われたが、ハイテク以外のセクターローテーションが進んだ。結果的に金曜にダウは最高値を更新。ナスダック、S&P500も最高値圏1%以内に位置している。米株式市場は懸念点を抱えつつも堅調な状態といえるだろう。
週間では米株3指数はそろって反発し、ダウは金曜日に最高値を更新している。ハイテクが売られ指数の押し下げ役になったが、景気敏感株が買われカバーして指数全体は上昇となった。
2.エヌビディア決算は良くも悪くも波乱無し
20日の米国引け後のエヌビディア決算までは様子見という雰囲気だった。エヌビディアの株価は決算前日には+4.89%と上昇した。しかし決算結果は業績の伸びは著しく、見通しも一般的には良い数字だった。しかし事前の市場期待が高すぎた。株価反応は冴えないものとなった。大きく買われもせず、崩れもしない展開。引け後の時間外で株価は下落したが、翌日の米時間には小幅高の反応。その翌日の金曜には-3.22%と大きく下落した。期待が凄く高まるわけでも無かったが、これからの生成AI相場に悲観的になるほどでもなかった。
3.ロシアーウクライナリスクが複数回注目される
ロシアとウクライナ間の対立で緊張感が高まる報道が複数あった。ウクライナが米国製や英国製のミサイルによる攻撃をロシアの軍事施設に行い、ロシアからも中距離ミサイルが放たれた。ウクライナ側はロシアがICBMを発射と主張するも、ロシア側は否定している。ロシアが核兵器使用のハードルを下げる改定を行い、紛争への核利用が意識され世界が警戒感を高めた。ウクライナに大規模攻撃を仕掛けるという報道がなされ、米大使館などで避難が行われる場面もあった。これはロシアの情報操作とされるが、ロシア側は否定。なんともつかみようもない材料に踊らされた。
株式先物が地政学リスクで下げる画面があったが、どの日も米国時間内に下げ幅を持ち直している。無視して良いリスクではないだろうが、結果的に株価に悪影響は見られていない。
■日本
・ポイント
- 概況
- 決算を終えて買い材料少ない、エヌビディアも刺激にならず
- 上値目安の「壁」切り下げが続く
1.概況
国内に買い材料がなく主体性に欠けた週となった。
水曜日までは米国のエヌビディアの決算待ちで動けず、木曜にはエヌビディア決算の引け後株価で動くも刺激材料にならなかった。これまでの「祭り」と呼ばれるほどの反応は無く、電線株が動意づいたなどはあったが、主力半導体は売り反応に。木曜日に日経平均は38,000円割れの場面があったが、終値では38,000円台を回復。上値は200日線付近の38,500円が壁となった。週の現物終値は38,283円となった。
金曜日の米国株は経済指標などを好感して上昇した。日経先物は夜間で38,580円をつけた。地政学リスクなどなければ、週明けは38,500円の壁を越えて取引が始まるかもしれない。
2.決算を終えて買い材料少ない、エヌビディアも刺激にならず
日本は損保を残して先週に個別企業の決算発表が終わった。この週は植田総裁発言が2回あったり、金曜に10月CPIなどが発表された。しかしどれも強い買い材料とはならなかった。材料不足で軟調な展開が続いて、5日連続でプライム売買代金が4兆円割れとなっている。
3.上値目安の「壁」切り下げが続く
10月末終値は39,081円だった。11月はそこから上昇し、39,800円台を付ける場面もあった。その時点では「4万円の壁」と言われた。そして先々週中ごろから下落が始まり、「39,000円の壁」となった。そして先週には38,500円台到達しても維持できない「38,500円の壁」。徐々「壁」の上値が切り下がっている。200日線が38500円付近なので、ここを突破し維持できるかが重要だろう。これ以上の「壁」切り下げは下降トレンドを誘発してしまいそうだ。年末までには日米ともに株高の季節となる。シーズナリティ通りなら、今が買い場の判断になるはず。しかし買い材料も少なくい。振り返ったら買い場だったと分かるかもしれないが、相場は常に「今の判断」が難しいものである。