米国の重要指標とイベントを乗り切り、更に日本の中銀会合を消化する難易度の高い週に
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最新の株式指数チャート等は下記URLから
米国株情報
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米国株相場
先週
先週の米株市場は弱めの経済指標が多く見られ、10年債利回りが低下。
株式市場には追い風になり、ナスダックやS&P500は史上最高値を更新し、株価水準的には非常に良い状態が継続している。
週末の雇用統計では非農業部門雇用者数と平均時給が予想を大きく上回るサプライズ。
しかし失業率は悪化したのもあってか、株式は小動き。
週前半は弱い経済統計(4月JPLTS、5月ADP雇用統計)に年内利下げに期待が高まったが、強い雇用統計で過度な楽観は修正する雰囲気に。
年内の利下げ見通し2回を1回に修正する投資家が徐々に増えてきているようだ。
個別株ではエヌビディアが引き続き市場の期待を集めている。
先週は時価総額でAppleを抜いてマイクロソフトに次ぐ2位に浮上。
今週からは株式分割も実施され更に売買が活発になるかもしれない。
ECBが0.25%の利下げを実施したが、事前に織り込まれていた。
発表前後で大きな変動は見られなかった。
ラガルド総裁は次の利下げはデータを見ながら慎重に行う方針を表明。
ECBの前日にはカナダもG7の国としては初めての利下げを発表した。
今週
週半ばから後半に重要指標とイベントが集中する。
金利と株式に反応が強く出る可能性に注意。
FOMCが11~12日に開催
12日の結果発表の日に5月CPI
13日には5月PPI
FOMCでは金利据え置き予想だが、先読みを示すCPIやPPIは年内利下げ観測に影響を与えるだろう。
FOMCではドットチャートも示され、パウエル議長の会見では年内のインフレや金利込々が注目される。
金利と株式やドルに大きな変動をもたらす可能性があるだろう。
とはいえ、これが終われば金利に注目し敏感に反応するのはいったん小休止となるか。
市場では他の材料への反応が強くなっていくように思う。
先週ECBは4年9か月ぶりに利下げをした。
次回以降の利下げには慎重なスタンスだが、世界的に見ると中央銀行は利下げの流れにある。
インフレは徐々に終息していくというのがコンセンサスだろう。
米国もその流れの中で「いつ」利下げするかを投資家は注視している状況。
FOMCでドットチャートが示されることにより、利下げ回数が年内2回か1回か投資家は判断をアップデートできるのではないか。
個別株では6月10日からAppleの開発者向け会議「WWDC2024」が始まる。
今のハイテク株が評価されるのは、AIへの期待を高められるかどうか。
AppleはAI銘柄として評価されず株価も低調なのが現状だ。
この開発者会議で期待が高まるのではないかと予想している投資家も多い。
逆にここで失望されてしまうと株価は非常に厳しいことになるだろう。
垂直統合で世界のスマホやタブレット市場を魅了し続けたAppleが、自前のAI環境を示すのかChatGPTやGoogleとの提携を示すのか。
パートナーとなる企業が発表されれば、そちらの株式にも買いが集まるだろう。
翌週19日(水)は米国が祝日
14日(金)から休日手前の様子見ムードになる可能性も意識しておきたい。
日本株相場
先週
先週の日経平均終値は38,683円で終え、週間で196円高となった。
米国の金利低下による株高もあり追い風が吹く環境だが、ドル円が円高に振れたことや来週の日銀会合もあり連動は小さめ。
一時39,000円台回復も定着はできず。
自動車の型式不正、売り推奨レポートでレーザーテック急落、持ち合い株式売却報道のトヨタなど個別の主力株への逆風材料も多かった。
翌週の日銀会合で金利引き上げは無いにしろ、国債買入の減額が意識されている。
金利引き上げも9月が濃厚と見られていたが7月に前倒しを見る関係者も増えてきた。
今週
米国、そして日本で重要イベントや経済指標が頻発。
特に日本は米国の材料を消化した週末に国内需給イベント(MSQ)と中銀会合が重なる。
12日にCPIとFOMC結果
13日に前日の米株指標を織り込む展開、そしてその夜には5月PPI
14日金曜日はMSQと日銀会合結果発表、日銀総裁会見
週前半は様子見、半ばから後半は重要指標えの反応と次のイベント待ち。
株式や金利、ドル円が結果的にどのように着地するからは見通せない。
FOMCでは金利据え置き予想だが、ドットチャートなどに反応をするだろう。
インフレ動向を示すCPIやPPIの数値は年内利下げ観測に影響を与えるだろう。
米国材料をすべて消化した14日金曜日にはMSQと日銀会合結果があり植田総裁が会見する。
日銀会合では金利は据え置きと見られているが、国債買入の減額などが予想されている。
金利にしても国債買入減額にしても日曜から水曜ぐらいまでにはリーク報道があり先に織り込むかもしれない。
リークさえ出れば金曜の会合も答え合わせムードとなり、当日の変動は少なくなるだろう。
円安対策のためだけに日銀は政策修正をしないのが常識だが、決定会合と総裁会見で発表される内容に注目が集まる。
日銀会合後にドル円が円安に振れてしまった場合、為替介入への警戒が高まる。
160円程度に肉薄した場合は金曜の米国時間まで気が抜けなくなる。
為替介入は国民感情と対米の説明義務など非常に込み入った要素をはらむ、これまた予想が難しい。
週を通して金利変動があれば金融株、ドル円の変動は輸出入産業を刺激するだろう。
大型株はイベントや経済指標発表まで手掛けづらいかもしれない。
グロース市場は大型株の様子見から短期資金が入ってくれば変動が激しくなる可能性がある。
しかし長期的な資金が入るかどうかは、重要イベント後の株式へのリスク姿勢次第となりそうだ。